
語りの後継者を育てたい
2007年に開講した『佐久昔ばなし大学』で理論と語り口を学び、その後『佐久昔ばなし大学 再話研究会』で研究を重ねてきた仲間たち。講師を務めた小澤俊夫先生の引退とともに研究会が幕を閉じることが決まり、昔話を語り継ぐ次世代の後継者を育てることを目的に、2025年6月『佐久昔話大学 語りの会』を発足させました。 保育施設や小学校で長年にわたり昔話の語りを続けてきた語りの会が行っているのは、昔話を本や資料を持たずに覚えて語る「伝承の語り」です。「昔の形をできるだけ壊さずに子どもたちへ渡し、語り継ぐ文化を未来へつないでいきたい」という思いで活動をしています。

「耳で聞く昔ばなしのおへや」開催
月第1土曜日に佐久市中央図書館で「耳で聞く昔ばなしのおへや」を開いています。最初にろうそくを灯し、静かな暗がりの中で語りが始まり、物語の世界へと誘います。5つの昔話を別々の語り手が語るのですが、声や語り口など語り手ごと、雰囲気が異なり、物語の味わいが変わるのが魅力です。じっくり物語に耳を傾けられる人ならどなたでも参加できますが、親子や大人ひとりでの参加も大歓迎です。静かな空間で語りを味わう時間は、子どもだけでなく大人の心にも響くと好評です。
想像する喜びをともに
会長の三石けさ江さんは、「子どもたちが昔話を聞くことで、目に見える世界だけでなく、目に見えない世界も知りながら大きくなってほしい」と話します。視覚や映像に頼らない昔話の語りには、見えない世界を心に描かせる力があるといいます。また、昔話は口伝えで語り継がれてきたものなので、何度も聞くうちに自然と体感で語れるようになるそうです。「語ることは、知らなかったことを知る楽しさにもつながる」と仲間の皆さん。 伝承の語りの魅力を伝えるべく熱心に活動する仲間たち。次回の「耳で聞く昔ばなしのおへや」は1月24日に開催予定。これからも昔話の語りが紡ぐファンタジーの世界を届けていくことでしょう。
