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ピロリ菌ってなに?

佐久長土呂クリニック

ピロリ菌ってなに?

ヘリコバクター・ピロリ、通称「ピロリ菌」は、人間の胃の中にすみつく細菌です。胃の中はとても強い酸性で多くの菌やウイルスは生きていけませんが、ピロリ菌は「ウレアーゼ」という酵素を使って胃酸を中和し、自分のまわりをアルカリ性にして生きのびるという特性を持っています。一度胃の粘膜にくっつくと離れず、そこで長い間生き続けることができます。

どこからうつるの? ~感染のしくみと広がり方~

 日本では特に感染者が多く、中高年の約半数以上が感染しているといわれていますが、最近では衛生環境の改善や水道の普及により、若い世代の感染率は大きく下がり、30歳代では約20%、10歳未満では10%未満といわれています。
 現在主に口を通じて人から人へ感染し、特に感染しやすいのは6歳くらいまでの乳幼児期といわれます。家庭内での感染が多く、親が子どもに食べ物を口うつしで与えたり、同じ箸やスプーンを使ったりすることでうつると考えられています。いったん感染すると自然に治ることはめったにありません。症状がないことから知らないうちに病気のリスクが高まっていくため「沈黙の感染症」とも呼ばれています。

どんな病気になるの? ~放っておくと怖いピロリ菌~

 感染してもすぐに症状が出るわけではなく、多くの人は「慢性胃炎」という、胃の粘膜がじわじわと傷ついていく状態で、この段階では無症状の人が多く、そのほか「胃潰瘍」や「十二指腸潰瘍」といった病気につながることもあります。
 さらに、胃がんと関係があるといわれており、ピロリ菌が長年胃にすみつくことで粘膜が荒れ続け、その結果としてがんが発生するリスクが高まることがわかっています。世界保健機関(WHO)も、ピロリ菌を「確実な発がん因子」として認めています。日本は世界でも胃がんの発症率が高い国の1つであり、その背景にはピロリ菌が深く関わっていると考えられています。

感染しているか調べるには? ~検査の種類と流れ~

 検査方法にはいくつか種類があります。
◆内視鏡検査(胃カメラ)を必要としない方法
①呼気試験(尿素呼気試験):専用の薬を飲み、呼気中のCO2濃度を測定する検査です。
②便中抗原検査:便サンプルから菌の抗原を検出します。
③血液抗体検査:血液中の抗体を測る検査です。
④尿抗体検査:尿中の抗体を測る検査です。
◆内視鏡検査(胃カメラ)が必要な方法
⑤迅速ウレアーゼ試験:胃カメラで組織を採取して迅速にウレアーゼ活性を調べます。
⑥培養検査:胃カメラで採取した組織を培養して菌を増やす検査です。
⑦病理組織検査:胃カメラで採取した組織を顕微鏡で観察し、菌を探す検査です。
⑧核酸増幅検査:胃カメラで胃液を採取して遺伝子を調べる検査です。

除菌でリスクを下げる ~治療と予防のすすめ~

 ピロリ菌の感染がわかった場合には、「除菌治療」を受けることで菌を体から追い出すことができます。現在は内視鏡検査が必要ですが、健康保険を使って除菌治療を受けることが可能です。1回で除菌ができないこともありますが、2回までで除菌成功率は95%ほどで、100%でないことから、除菌後には再度検査をして除菌ができたかを確認することが大切です。除菌治療を行うことで潰瘍の再発が減るだけでなく、胃がんリスクも下げられるといわれています。除菌には年齢制限はなく高齢者にも効果があるとされています。ただし、除菌が成功しても胃がんリスクがゼロになるわけではありません。除菌後も発がんリスクは残るため、定期的に内視鏡検査を受けることが必要です。

まとめ

 ピロリ菌は「静かな病気の火種」とも言える存在。「かかってもすぐに困らない」存在に見えるかもしれませんが、知らないうちに胃の健康を蝕むため、将来にわたって健康を守るためには、しっかりと向き合う必要のある相手です。最近は中学生に検査する自治体もあります。放っておかずに早めに検査・治療を考えてみましょう。気になる方は、まずは医療機関に相談を!




佐久長土呂クリニック
吉澤 寿英 院長
TEL 0267-68-7899

住所 佐久市長土呂803-26

営業時間 8:30~12:00/14:00~20:00 (土曜日午後は14:00~17:00)

定休日 第2土曜とそれにつづく日曜、祝日、日曜午後




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