

伝統の生酛造りでじっくりと 手間暇かけた深い味わい
静けさに包まれる望月・茂田井の郷で、「伝統の日本酒」「新しい日本酒」「どぶろく」の三つの柱を軸に新しい挑戦を続ける老舗酒蔵です。

国の登録有形文化財で醸す味わい
江戸時代初期に武田家の家臣が一族とともに佐久市茂田井に移り住み、1868(明治元)年に武重家12代目当主 武重徳左衛門が酒造業を始めました。敷地内にある建造物のうち30棟が国の文化財として登録されている、歴史ある酒蔵です。
「歌と旅と酒の歌人」と呼ばれ、明治から昭和に活躍した若山牧水の歌にも、武重本家酒造の代表銘酒「御園竹」が詠まれています。
近年では、映画『たそがれ清兵衛』(2002年 山田洋次監督)の撮影地として、また、2009年に公開された映画『サマーウォーズ』(細田守監督・武重洋二美術監督)では登場する陣内家のモデルになるなど、昔懐かしい趣が人々の注目を集めてきました。

伝統の生酛造りを全銘柄に
豊かな自然環境の中で栽培される上質な米、蓼科山の伏流水、寒造りに適した寒冷な気候によって生み出される日本酒は、この土地ならではの味わいとして古くから地元の人々に愛されてきました。 酒蔵の中にある天然の乳酸菌を取り入れ、じっくり時間をかけて酒を醸す伝統的な技法「生酛造り」を用いているのも特徴のひとつです。一般的な速醸法に比べ手間はかかりますが、時間をかけて熟成するため、酒質が良く、旨みがたっぷりのった味わいに仕上がります。 代表銘酒である「御園竹」はまろやかな膨らみと親しみやすい味わいが特徴で、普段飲みのお酒として親しまれています。贈り物や特別な日の振る舞い酒に喜ばれる「牧水」は、生酛造りならでは深い味わいが楽しめます
実は珍しい!酒蔵の「どぶろく」
日本酒の製造過程で「もろみ」をろ過したものが「清酒」、ろ過しないものが「どぶろく (濁酒)」になります。清酒の製造免許では「どぶろく」の製造は認められていないため、酒蔵が手掛けるどぶろくは珍しいのです。 武重本家酒造では1999年から「酒蔵開放」を行っていますが、「できたてのお酒を振る舞いたい」との思いから、どぶろくの醸造免許を取得。甘味と酸味、プツプツの泡を楽しむ「十二六 甘酸泡楽」が、2002年に登場しました。毎年10月下旬から3月までの期間限定受注生産で、伝統の滋味とフレッシュ感が楽しめる、お酒好きにはたまらない逸品になっています。
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武重本家酒造では、春や夏に酒蔵開放のイベントを開催するほか、酒の肴にぴったりのレシピをホームページに掲載するなど、ファンの声に耳を傾けながら時代の趣向に合わせた酒造りに挑戦し続けています。 「昔から地元の方に愛される地酒を造ってきました。これからも良質な酒を、国内外問わず、酒を愛するファンに届けていきたい」と武重有正社長は語ります。

