人々の心を和ませる
普段飲みの酒こそ高品質に
長い歴史の中でその存在感を確固たるものにした矜持と伝統が活きる酒蔵。口に含めば、里山に響く鶯の声のように心を和ませてくれます。
佐久地域の日本酒の姿を求めて
武田信玄にゆかりの深い旧家で、田口藩の藩領であった大澤村の庄屋を務めてきた木内家。１８５５（安政２）年に木内清兵衛が本格的な酒造りを始め、三代目の吾市が木内醸造の基盤を築き上げました。「吟味した米をよく精製して豊富に使用する」という創業以来の方針を頑なに守りつつ、佐久地域の自然や気候を活かした日本酒の姿を追求し続けている酒蔵です。
三代目の吾市は鉄道会社の常務取締役も務めた人物で、佐久に鉄道を誘致するなど地方開発にも尽力しました。現在も小海線中込駅前に酒類を販売する直営店がありますが、大正6年から終戦まではこの場所でも酒造りが行われていました。 １９０６（明治39）年に木内醸造合名会社を設立。１９０９（明治42）年には、いち早く動力を水車から15万馬力のボイラーに入れ替え、米つき、精米、蒸しに応用しました。当時としては画期的なこの機械化により、米の精製度があがり、洗練された酒を醸すことができるようになりました。戦時中は陸軍御用酒となり、大量のこも樽が海を渡ったと言います。
受け継がれる高品質な味わい
木内醸造の代表酒である「初鶯」という名前には新たな出会いや門出の意味があり、人生の節目を華やかにするお酒でありたいという願いが込められています。２０００（平成12）年には仕込みのすべてを本醸造酒以上の特定名称酒に切り替え、「普段飲みの酒こそ高品質であるべき」と、その味わいを磨き上げてきました。 自然凍結させた酒米を掛米の一部に使用する「純米酒 凍米（いてまい）」は、全国でも珍しい独自製法で造られるお酒で、雑味のないスッキリとした味わいに仕上がっています。 減圧蒸留と酒蔵を利用した長期貯蔵によりフルーティーで飲みやすい「本格焼酎 天雪（てんせつ）」も人気の看板酒のひとつです。
歴史ある酒蔵ならではの見所
大沢にある酒蔵の敷地内には、蔵を改装した資料館があり、歴史ある酒蔵ならではの古道具が展示されています。また、酒蔵で醸したお酒を直に購入することも可。趣ある中込駅前の直営店に足を運ぶのもお薦めです。 「先代には工業系の人が多かったためか、先駆者的に新しいものを取り入れてきました。そんな新し物好きのご先祖様のおかげで、酒の味も洗練されていったのでしょう」と、木内浩太社長は笑います。
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歴史ある酒蔵ならではのこだわりと伝統で、これからも佐久の自然と調和した旨い酒を醸し続けていくことでしょう。
日本酒
四段仕込みの辛口でも甘口でもない「旨口ゼロ」にすることで、飲み飽きしない味わいに仕上げた「初鶯」と、黄麹や清酒用酵母を使った本格焼酎「天雪」
